突然だが、みなさんはNZにどんなイメージをお持ちだろうか?行ったことがない人からすると 「自然が豊かで、人口よりも羊のほうが多い」。そんなイメージを持っている人が多いかもしれない。

実際にぼくもそうだった。「世界一美しい散歩道」と言われるミルフォード・トラックに、ミルキーブルーが広がるテカポ湖。そして満天の星空。ニュージーランドの大自然は息を呑むほど美しく、何度訪れても飽きることがない。しかしこの国には、まだ多くの人が知らない魅力に溢れており、短時間では語り切れないほど。

そこで、過去7年以上に渡ってニュージーランドの撮影と取材を繰り返してきた中で、独断と偏見による【ニュージーランドMY BEST】をコラムという形で定期的に紹介していくことにした。

今回は記念すべき第1弾。『死ぬまでに見るべきニュージーランドの絶景ベスト10』というベタな内容だが、すべて実際に足を運んだ数々の絶景から選び抜いた10選をご紹介していく。

ちなみに僕は2015年からニュージーランド写真家として活動を始め、過去50回に渡ってニュージーランド写真展を日本全国で開催。2018年にはガイドブック『LOVELY GREEN NEW ZEALAND』を著者の1人として出版し、2020年1月からはニュージーランドを最北端から最南端まで3,000kmを縦断するロングトレイル『テ・アラロア』に挑戦(※ロックダウンにより1,100km地点で断念。2022年以降に再挑戦予定)。

なぜここまでニュージーランドに取りつかれているかというと、かつて“どん底” だったぼくの人生は、この国での体験をキッカケに「自分らしさ」を取り戻し、ずっと豊かなものになった。そして ぼくだけじゃなくニュージーランドを訪れたことをキッカケに、自分の「生き方」を見つめ直したり、新たな人生の「一歩」を踏み出す人をたくさん見てきた。

だから一人でも多くの人がこの国を訪れ、ニュージーランドの大自然や、この地に暮らす人々の豊かさや美しいライフスタイルにぜひ触れて欲しいと、ぼくは心から願う。そしてこの国への旅があなたらしさを取り戻し、これからの生き方を見つめなおすキッカケになればという想いで、コラムを書いていこうと思う。すっかり前置きが長くなってしまったが、それでは10位から順に発表していこう。

10位 Rob Roy Glacier, Mt.Aspiring National Park

トレッキング初心者に真っ先におすすめしたいのが、ここRob Roy Glacier(ロブ・ロイ氷河)。Wanakaから車で約40分のところにあるMt.Aspiring(マウント・アスパイアリング国立公園)の駐車場から往復3~4時間。アップダウンも少なく、わずか往復3~4時間で迫力溢れる氷河を目の当たりにできる。車は必須となるが、初めてのニュージーランド旅にぜひお勧めしたい絶景ポイント。

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9位 Karekare Beach, Auckland

正直、誰にも教えたくない超穴場スポット。今回のランキングで北島で唯一ベスト10入りとなったKarekare Beach(カレカレ・ビーチ)は、オークランド中心部から車でわずか約30分でアクセスができるものの、ほとんど人がいないため絶景を1人占めできる。オススメは日中にビーチを一望できるMercer Bay Roop Track(約2.4kmで所要時間は約1時間。初心者向け)に行き、夕方にかけてビーチを訪れ、サンセットを眺めるというプラン。ここから眺める夕日は一生忘れないものとなるだろう。

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8位 Sealy Tarns Track, Mt.Cook National Park

ニュージーランド最高峰の山 ”Mt.Cook(マウント・クック)”。この壮大な山を見るための絶景ハイキングコースが数多く点在する中で、ぼくが最もお勧めしたいのが このSealy Tarns Track(セアリー・ターンズ・トラック)だ。階段をひたすら上り続けるという修業のようなコースだが、キツい道のりの先には最高のご褒美が待っている。体力に自信がある人はここからさらに先にあるMuller Hut(ミュラーハット)まで行ってみると、さらに迫力のある景色を拝むことができる。

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7位 Routeburn Track, Fiordland National Park

ニュージーランドの中で最も美しいとされる10のトレッキングコース ”Great Walks” の1つで、その中でも特にお勧めなのが Routeburn Track(ルートバーン・トラック)。全長32kmの中で最大のハイライトは、Lake Harris からRouteburn Falls Hut へと峠を越えていく道中。まるで時空を超えてしまったかのような特別なエネルギーを放っており、まさにそこは「神々の領域」と呼ぶに相応しい。全長32kmとGreat Walksの中では短い部類に入り、道中も整備されているため初心者でも歩きやすい。山小屋も驚くほどきれいで、ぜひ人生初の山小屋泊トレッキングに挑戦してみてはいかがだろうか?

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6位 Oparara Basin, Kahurangi National Park

ニュージーランド最果ての街 Karamea(カラメア)から車で約40分のところにあるOparara(オパララ)。ここは「ロストワールド」と呼ばれ、ニュージーランド最古の5億年前の地層が今なお残る超パワースポット。この空気に触れると、すべての人が言葉を失い、中には涙を流す人も。ぜひその目で「地球の神秘」を体感して欲しい。

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四角大輔・トミマツタクヤ・野澤哲夫・長田雅史4者共著のガイドブック『LOVELY GREEN NEW ZEALAND』が2018年9月に発売。著者らが実際に足を運び、心からおすすめできる物件のみが掲載された ”究極のガイドブック” がここに完成!!!

5位 Matukituki Valley, Mt.Aspiring National Park

10位にランキング入りしたRob Roy Glacier(ロブ・ロイ氷河)の駐車場へと向かうドライブコース ”Matukituki Valley(マトゥキトゥキ渓谷)” が5位にランクイン。そのドライブコースから目の当たりにするMt. Aspiring(マウント・アスパイアリング国立公園)の奇跡の絶景に、車を何度も止めては写真を撮ることになるだろう。ただし途中小川を通ることもあるため、悪天候の際は運転に十分な注意が必要。車を駐車場に止めた後は、ぜひマトゥキトゥキ渓谷を散策してみよう。さらなる絶景と出会えるはずだ。

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4位 Lake Pukaki, Mt.Cook National Park

ニュージーランドの最高峰 Mt.Cook(マウント・クック)の氷河から溶け出した水と岩の粒子が混じり合って生まれた奇跡のミルキーブルー。風が収まるとミラーのように反射するその湖の絶景に誰もが足を止めてしまう。ここは車でアクセスが可能で、ここからマウント・クックへと向かう50kmの道のりは世界でも指折りの絶景ドライブコース。ニュージーランドを初めて訪れる人には ”MUST” スポットと言って過言ではないだろう。

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3位 Lake Marian, Fiordland National Park

日本で売られているガイドブックには紹介されていないスポットだが、今回ぼくの強い要望で『LOVELY GREEN NEW ZEALAND』には掲載させてもらった “Lake Marian(レイク・マリアン)”。往復3時間と距離は短いものの、登山道は険しく、トレッキング慣れした中~上級者向けのコース。フィヨルドの山脈の中にポツンと現れる奇跡の湖。氷河が築いた渓谷は、何か特別なエネルギーを放っていた。

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2位 Gertrude Saddle Route, Fiordland National Park

ここも日本で売られているガイドブックには決して紹介されていない穴場スポット。ここは現地に暮らすハイカーたちが口を揃えて「ニュージーランドNo.1の絶景スポット」とお勧めするところで、実際に訪れてみるとその言葉に心から納得(今回は2位なので矛盾しているが…)。ただ残念ながらこのGertrude Saddle Route(ガートルード・サドル・ルート)は難易度が非常に高いトレッキング・コースで、過去には死者が出てしまったこともあったそう。登山上級者のみがアクセス可能だが、ここの絶景は辛い思いをしてでも見る価値のある絶景ポイントだ。

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1位 Milford Track – Mackinnon Pass, Fiordland National Park

ここを〝奇跡〟を呼ばずしてなんと呼ぶべきか…。『世界一美しい散歩道』と世界中のハイカーを虜にし続けているMilford Track(ミルフォード・トラック)。その最大のハイライトであり、絶景ポイントがここMackinnon Pass(マッキノン・パス)だ。最後に訪れてからもう6年が経つが、ここで目の当たりにした「奇跡」は今も脳裏に焼き付いて離れない。残念ながらここに辿り着くためには3泊4日/53.5kmの全工程を歩かなければならず、1日に入山できるのはわずか40人。予約はいつもすぐにいっぱいとなるため、少なくとも半年前には計画が必要となるが、この奇跡のトレッキングコースを体験せずに人生を終えるのはあまりに勿体なすぎる。それほどまでに、このミルフォード・トラックはニュージーランドの中でも特別な存在だ。

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▶︎ まとめ

完全なる独断と偏見で選んだ『死ぬまでに見るべきニュージーランドの絶景ベスト10』いかがだっただろうか?改めてベスト10を一覧にして振り返ってみよう。

『死ぬまでに見るべきニュージーランドの絶景ベスト10』

1位 Milford Track – Mackinnon Pass, Fiordland National Park
2位 Gertrude Saddle Route, Fiordland National Park
3位 Lake Marian, Fiordland National Park
4位 Lake Pukaki, Mt.Cook National Park
5位 Matukituki Valley, Mt.Aspiring National Park
6位 Oparara Basin, Kahurangi National Park
7位 Routeburn Track, Fiordland National Park
8位 Sealy Tarns Track, Mt.Cook National Park
9位 Karekare Beach, Auckland
10位 Rob Roy Glacier, Mt.Aspiring National Park

今回10カ所中なんと9カ所が南島で、北島は Karekare Beach(カレカレビーチ)の1カ所のみのベスト10入りとなった。「絶景」という観点から見ると、やはり南島に軍配が挙がる。

さらに10カ所中、Fiordland National Park(フィヨルドランド国立公園)が4カ所もベスト10入りとなったわけだが、ニュージーランドをもし初めて訪れるなら絶対に訪れて欲しいエリアの1つ。その際、ぜひトレッキングにも挑戦して欲しいが、もし体力に自信がない人は観光地として有名なMilford Sound(ミルフォードサウンド)へと向かう道のりをドライブするだけでも十分に見る価値はあるはずだ。ぜひ参考にして欲しい。

このランキングに納得がいかない人や意外に思う方がたくさんいると思うが、今回はその絶景を見たときに「自分の魂がどれだけ震えたか」を基準に選定した。ちなみに他にも紹介したかった絶景ポイントは少なくとも15カ所はあり、それらは「番外編」のような形で、どこかのタイミングでご紹介しようと思う。

在宅期間が長い影響で退屈している人がたくさんいると思うが、そんな状況でも「ニュージーランドを身近に感じられる」発信をたくさんしていくので、今後もぜひチェックよろしくお願いします。それではまた!

トミマツ タクヤ

ニュージーランド写真家

大学卒業後、大手企業に就職するも会社員生活に馴染めず転職を繰り返す。度重なる体調不良をきっかけに会社員生活に終止符を打ち、2013年 世界一周を夢見てニュージーランドへ初渡航。数ヶ月の滞在予定がニュージーランドのライフスタイルやウェルビーイング(心の豊かさ)に衝撃を受けて、1年4ヶ月もの歳月を過ごす。

帰国後は人生観を大きく変えてくれたニュージーランドの魅力を届けるべく、ニュージーランド写真家として活動を開始。『Small is Beautiful -より小さく より美しく-』をテーマに撮影・表現活動を行う。2015年から過去50回に渡り「写真×音楽×ストーリー」を組み合わせた上映会スタイルの写真展『Small is Beautiful』を日本全国で開催。”写真展示のない写真展” として話題を呼び、延べ5000名以上を動員。自身の人生をも変えたそのメッセージと世界観は多くの人の感動を呼ぶ。

2018年9月にはガイドブック『LOVELY GREEN NEW ZEALAND』を四角大輔氏らと共に出版。2020年1月にはニュージーランドの最長ロングトレイルコース『テ・アラロア』3,000km縦断に挑戦するも、ロックダウンにより1,100km時点で中断(2022年11月より再開予定)。

2020年5月には幸福先進国ニュージーランドに学ぶ「心豊かな生き方=Small is Beautiful」について学び、実践するための オンラインコミュニティ『iti(イティ)』をスタート。日本にいながらもニュージーランドを感じられるような場を作るべく『iti village project』を起ち上げるなど、“Small is Beautiful” の世界観の追求を続けている。

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▶︎ 撮影用HP:TAKUYA LeNZ Photography

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