1ヶ月間のニュージーランド滞在を経て、日本へと戻ってきました。

今年12月からスタートする、ニュージーランド3,000km縦断「Te ARAROA(テアラロア)」への挑戦。これから出発に向けて、本格的に準備を進めていくことになります。

でもその前に。この2ヶ月間で、ぼくの中で起きた変化について書いておこうと思う。むしろ、しっかり言葉にしないと前に進めない気がしていて。ちょっと勇気のいることだけど、自分の今の想いを素直に綴ろうと思います。

3/21 春分の日から始まった「違和感」

ぼくの中で「変化」が起き始めるキッカケとなったのは3月21日。春分の日に開催したニュージーランド写真展&トークライブのアンコール講演。その時に感じた「違和感」をキッカケに、自分の中で確かに「何か」が変わった(※3/21について感じた「違和感」についてはこちらにまとめています)。

ニュージーランドの自然やライフスタイルに触れたことで、ぼくの人生は大きく変わり、実際にこの5年間で起こったことは、自分でも信じられないような出来事ばかりだった。

会社員時代は完全に落ちこぼれだったぼくが、ガイドブックの出版に関わらせてもらったり、テアラでは複数のスポンサーに付いてくれたり。この人生が変わる体験を自分なりにたくさんの人に届けたくて、Small is Beautiful -より小さく より美しく―をテーマに表現活動を続けてきた。

必要以上のモノを持たない生き方。そして、自分の「心」に従って生きること。この生き方こそが「自分らしい生き方」だと、そう信じて5年間活動してきた。

会社員時代、自分を押し殺して生きてきたぼくにとって、「自分らしく生きること」は豊かな人生を送る上で大切なことだと、ニュージーランドから学んだ。

ぼくにとって「自分らしさ」とは、周りの目や社会の評価を気にすることなく、自分の「心」に従って生きること。

試行錯誤を繰り返しながらも「自分らしさ」をずっと追求し、写真展やトークライブ、SNSを通して、そのメッセージを自分なりに発信してきた。でもその結果どうなったかというと…、いつの間にか「自分らしく生きなければ…」と思うようになっていた。

こんなことをしてしまったら自分らしくないかも…。
離れていってしまう人が出てくるかも…。
今まで応援してくれた人をがっかりさせてしまうかも…。

表現活動こそが、自分のライフワークだと。チャレンジし続けることこそが、自分らしさだと。

でも「自分らしくしなければ…」と思っている時点で、周りの目を他人の評価を気にしている、つまり「自分らしさから離れている」というパラドックスが生まれていた。

「自分らしさ」という罠に、ぼくは陥っていた。

そして、いつの間にか「自分らしくない自分」を許せなくなっていた。

で、結果的にどうなってしまったかというと、疲れてしまっている自分がいたんだ。休むことを許さず、常に見えない「何か」と戦ってきた。

それに気が付いたのが昨年の終わり。ガイドブックを出版するという機会をもらい、たくさんの人から自分のことを知ってもらい、写真展全国ツアーを通して本当にたくさんの人と交流することができて、間違いなく人生で最も幸せな1年だった。でも あまりの忙しさで4回も体調不良で倒れ、酷いときは2週間近くも寝込んでしまった。

正直に言う。2018年をもう一度繰り返したいかというと、”YES” と言えない。

人生で最も「幸せ」を感じながらも、「もう続けたくない」というパラドックス。

これにぼく自身が気付いてしまった時はさすがにショックだった。このチャンスを与えてくれた人にも、今までずっと応援してくれた人にも、すごく失礼なことだから。

でもこれを続けている限り、身体と心が持たない。そして、ここで区切りをつけないと、また同じことを繰り返しになってしまう。だから今、ぼくは一旦リセットしなければならないタイミングに来ている。

「自分らしい生き方」から「自分を受け入れる生き方へ」

今の自分にとって、何が正しいのか。そしてこれからをどう生きるべきか、答えは見つかっていない。でも1つだけ、自分の中で決めたことがある。

どんな自分も、受け入れて生きる。

たとえ誰にどう思われようと、誰かが離れていってしまおうと。だって自分らしくても、自分らしくなくても、ぼくはぼくだから。

どこまでもピュアな自分もいるし
どこまでも腹黒い自分だっている。

男前な自分もいるし
女々しい自分もいる。

やんちゃな自分もいれば
くそまじめな自分もいる。

シビアな自分もいれば
ルーズな自分もいる。

オーガニックな自分もいれば
ジャンキーな自分もいる。

ぼくはそれ以上でも以下でもなくて
全部、大切な自分。

この5年間、ぼくは「自分らしい自分」しか受け入れてなくて、「自分らしくない自分」を受け入れようとしなかった。でもそれって結局、自分をすべて受け入れられていない、つまり自分を100%愛せていない生き方。

まずは自分が自分の味方になってあげないと。どんな自分も受け入れてあげないと。

ぼくは自分に厳しすぎた。たとえ自分らしくなくても、自分を許してあげよう。どんなぼくも、大切なぼくだから。

もし「自分らしく生きないと」と思っている人がいたら、ぼくみたいに「自分らしさ」にどうか縛られないで欲しい。

自分らしくあっても
自分らしくなくても
どっちも大切な自分だから。

あなたが良いときも悪いときも
受け入れてくれる人こそ
本当に大切にすべき人だから。

だからこれからどんな生き方をしようとも、まずはぼく自身が自分の「すべて」を受け入れて生きようと思う。

「自分らしい生き方」から、「自分を受け入れる生き方」へ。

5年間続けてきたチャレンジも、一旦リセットするタイミングがいよいよやってきました。まだ抵抗もあるし、スッキリはしていないけど、一歩ずつ、少しずつ。「テアラロアへの挑戦」への向き合い方も変わってくるような気がする。それについては、また言葉にできた時に書いていこうと思います。

トミマツ タクヤ


ニュージーランド写真家

大学卒業後、大手企業に就職するも会社員生活に馴染めず転職を繰り返す。度重なる体調不良をきっかけに会社員生活に終止符を打ち、2013年 世界一周を夢見てニュージーランドへ初渡航。数ヶ月の滞在予定がニュージーランドのライフスタイルやウェルビーイング(心の豊かさ)に衝撃を受けて、1年4ヶ月もの歳月を過ごす。

帰国後は人生観を大きく変えてくれたニュージーランドの魅力を届けるべく、ニュージーランド写真家として活動を開始。『Small is Beautiful -より小さく より美しく-』をテーマに撮影・表現活動を行う。2015年から過去50回に渡り「写真×音楽×ストーリー」を組み合わせた上映会スタイルの写真展『Small is Beautiful』を日本全国で開催。”写真展示のない写真展” として話題を呼び、延べ5000名以上を動員。自身の人生をも変えたそのメッセージと世界観は多くの人の感動を呼ぶ。

2018年9月にはガイドブック『LOVELY GREEN NEW ZEALAND』を四角大輔氏らと共に出版。2020年1月にはニュージーランドの最長ロングトレイルコース『テ・アラロア』3,000km縦断に挑戦するも、ロックダウンにより1,100km時点で中断(2022年11月より再開予定)。

2020年5月には幸福先進国ニュージーランドに学ぶ「心豊かな生き方=Small is Beautiful」について学び、実践するための オンラインコミュニティ『iti(イティ)』をスタート。日本にいながらもニュージーランドを感じられるような場を作るべく『iti village project』を起ち上げるなど、“Small is Beautiful” の世界観の追求を続けている。

▶︎ SNS:InstagramTwitterFacebookYouTube
▶︎ 撮影用HP:TAKUYA LeNZ Photography

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